【代表コラム】ピンクリボン月間に考える――治療とキャリアの両立

10月はピンクリボン月間です。乳がんをはじめとする女性の健康課題について社会全体で意識を高めるこの時期に、企業として「治療と仕事の両立」をどう支えるかをあらためて考えたいと思います。
私自身、数年前に乳がんを経験し、キャリアを中断せざるを得ない時期がありました。そのとき強く感じたのは、本人の努力だけではどうにもならない現実があるということです。支えてもらえる環境があったからこそ、再び挑戦する力を取り戻すことができました。この経験は、私がルマルメを立ち上げる原点にもなっています。
ライフイベントは“誰にでも”起こりうる
治療、出産・育児、介護といったライフイベントは、誰にとっても避けて通れません。制度や文化が整っていなければ、意欲や能力があってもキャリアを中断し、最悪の場合は退職につながってしまいます。一方で、支えがあれば「戻れる」と思える。これは現場で何度も耳にしてきた現実です。
実際に、患者や経験者が集まる交流会でも、「大手企業なら制度のもとで治療と仕事を両立できるが、中小企業では休職から退職に直結してしまう」という声がありました。特に非正規雇用や現場職では配置転換が難しく、両立のハードルは一層高くなります。非常に稀ではありますが、「病気を伝えると仕事を外されるのではないか」と不安を抱え、治療を隠しながら働かざるを得なかったケースも共有されました。こうした声は、企業にとっても見過ごせない課題です。
企業が今すぐ始められる両立支援のポイント
- 柔軟な勤務制度:通院や体調に合わせた勤務調整、在宅・短時間勤務の選択肢
- オープンな対話文化:上司や同僚に安心して相談できる雰囲気づくり
- キャリアの再開支援:中断後の復帰プログラムや学習機会の提供
- 人事・相談窓口の整備:情報提供と伴走体制
社内だけで全てを整えるのが難しい場合でも、助成金の活用などもその一つ、公的制度や外部の専門家をうまく取り入れることで、取り組みを進めることは可能です。中小企業にとっても現実的な第一歩を踏み出せる環境は整いつつあります。
経営にとっての意味
両立支援は「善意」や「福利厚生」を超え、人材戦略そのものです。離職防止、採用・育成コストの削減、知識・スキルの内部蓄積、そしてエンゲージメントの向上――いずれも企業の持続的成長に直結します。
そして何より、従業員が安心して働ける職場であること自体が、企業にとって大きな信頼価値となります。健康課題への理解と対応は、今や経営の必須科目と言えるでしょう。
ルマルメに込める想い
私がルマルメ株式会社を立ち上げたのは、まさにこの実感からです。「女性がライフイベントを経てもキャリアを諦めず、自分らしく輝ける社会をつくりたい」と強く思うようになりました。その姿は、企業の力を確かに強くしていくと信じています。
「女性が輝けば、企業はもっと強くなる」
これはスローガンではなく、私自身のキャリアを通じて得た確信です。
ピンクリボン月間をきっかけに、自社の課題として「支え合う環境づくり」を一歩進めてみませんか。 企業の取り組みが、従業員一人ひとりの未来を支える力になります。